
結婚生活における孤独感を克服する2つの方法
2025.04.03結婚しているのに孤独を感じる人が増えています。心理学者マーク・トラヴァース博士は、「感謝」と「許し」という2つの心理的戦略が、夫婦の孤独感を減らし、心のつながりを再構築する鍵になると述べています。
はじめに:結婚していても孤独を感じるあなたへ
現代の日本社会では、共働き世帯の増加や家事育児の負担、SNSでの比較文化など、結婚生活を取り巻くストレスが複雑化しています。夫婦で同じ家に暮らしていても、会話が減り、心の距離を感じてしまう。そんな「見えない孤独」に悩む人が増えています。
Forbesの記事「2 Ways To Combat ‘Loneliness’ In Your Marriage—By A Psychologist」において、心理学者マーク・トラヴァース博士は、このような結婚生活における孤独を克服するために有効な2つの戦略を提示しています。それは「感謝」と「許し」です。
ここではその内容を日本の夫婦関係の文化的背景も踏まえながら、深く掘り下げてご紹介します。
第1の方法:感謝を伝えることでつながりを再確認する
感謝は「関係性の潤滑油」
感謝とは、相手の行動や存在に対して「ありがたい」と感じ、それを表現することです。感謝の感情は、相手の貢献を認識し、関係の満足度や絆を深める心理的効果があります。
特に長く連れ添った夫婦ほど、日々のやりとりが当たり前になり、「感謝の言葉を伝える」という行為が減っていきがちです。しかし、心理学研究によれば、感謝を日常的に表現するカップルほど、関係の満足度が高く、離婚率も低いことがわかっています。
感謝を表現する具体的な方法
- 具体的に褒める・伝える
例:「毎日お弁当を作ってくれてありがとう。あなたの料理、本当に美味しいし助かってるよ。」 - 感謝日記をつける
毎日、パートナーに感謝したことを3つ書き出す習慣をつけることで、ネガティブな感情よりポジティブな側面に目が向くようになります。 - 「ありがとう」を習慣化する
朝のおはよう、夜のおやすみと同じように、日々の小さな行動に「ありがとう」を添える。
日本文化と感謝の難しさ
日本では「言わなくても分かるだろう」という価値観が根強く、照れや遠慮から感謝を口に出すことが少ない文化背景があります。しかし、相手が本当に感謝を感じ取ってくれるかは別問題です。特に男性は、感情を表に出すことに慣れておらず、妻の気遣いを当然と受け取ってしまいがちです。
だからこそ、意識して言葉で伝えることが、関係を修復する第一歩になります。
第2の方法:許しを通じて心の壁を取り払う
許しとは「感情の手放し」
人間関係には必ず摩擦や衝突があります。夫婦でも、傷つけ合ってしまうことは避けられません。そのときに重要なのが「許す力」です。
許しとは、過去の怒りや裏切りを手放し、前に進む選択をすること。これは相手のためというより、自分自身の心を軽くする行為でもあります。
許しの心理的効用
心理学研究によると、パートナーを許すことで:
- 怒りや恨みの感情が軽減される
- 身体的ストレスが減少する
- パートナーへの信頼感が回復する
- 関係の継続意欲が高まる
日本人が「許す」ことを苦手とする理由
日本では「空気を読む」文化や「和」を重んじる価値観があるため、対立を表面化させること自体が避けられる傾向があります。表面的には波風を立てない一方で、心の中ではわだかまりが蓄積されていきます。
その結果、「謝ってくれないから許せない」「わかってくれないから心を閉ざす」といった悪循環に陥るケースも少なくありません。
許しを実践するためのステップ
- 自分の感情を認識する
怒りや悲しみを抑え込まず、紙に書き出してみる。 - 相手の立場や意図を想像する
完璧な人間はいない。自分もミスをするように、相手も不完全な存在であると理解する。 - 会話の場を設ける
攻撃的にならず、「私は~と感じた」というアイメッセージで感情を伝える。 - 小さなことから許していく
一度で全てを許す必要はありません。まずは小さな誤解や違和感から手放していく。
おわりに:感謝と許しがもたらす「つながりの再構築」
結婚生活において孤独を感じることは、決して異常ではありません。むしろ、それは関係性に対するあなたの誠実な姿勢の現れです。
マーク・トラヴァース博士が提唱するように、「感謝」と「許し」というシンプルながらも深い行為は、夫婦の心の距離を縮め、孤独感を癒す大きな力を持っています。
日本の文化的背景を考えると、これらを実践することには勇気が必要かもしれません。しかし、小さな一歩の積み重ねが、やがて信頼と絆を再構築する礎になります。
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