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セカンドパートナーに言えないことランキングとその心理について
2025.06.18既婚者がセカンドパートナーに「言えないこと」は、その関係の危うさと人間の複雑な心理を映し出しています。本記事では、家庭の実情や将来のビジョン、他の異性関係、経済状況、そして本当の愛情の温度差などを「言えないこと」としてランキング形式で紹介。それぞれに潜む心理背景を、罪悪感・現実逃避・自己防衛・社会的立場といった観点から論理的に分析しています。性別や年代による傾向、さらには日本社会の価値観や法律的背景にも触れ、表には出にくい「沈黙の心理構造」を明らかにします。セカンドパートナーという存在がなぜ生まれ、なぜ隠し事が増えてしまうのかを、既婚者視点に立って深く掘り下げた記事です。
セカンドパートナーとは?日本における現状と背景
セカンドパートナーとは、配偶者(ファーストパートナー)とは別に持つ親密なパートナーのことです。恋愛感情を伴い、ときに肉体関係もある親密な関係ですが、法律上の婚姻関係にはない相手を指します。一種の婚外恋愛であり、「プラトニック不倫」などとも呼ばれます。近年この言葉がメディアで注目され始め、議論を呼んでいます。
現在、セカンドパートナーがいると回答した既婚者は全体の数%程度ですが、男性の方が女性よりもその傾向が高いことが調査で示されています。例えば2024年の3,000人規模のアンケートでは、男性の約10%・女性の約5%が「現在セカンドパートナーがいる」と回答しました。一般には否定的な見方が強く、「不倫」「浮気」「道徳的におかしい」と捉える人も多いものの、一方で「心の支えになるなら良い」「多様性の一つとして理解できる」といった肯定・容認的な声も一定数あります。世代別に見ると年齢が上がるほどセカンドパートナーへの理解・容認が増える傾向も報告されています。こうした背景には、夫婦間のセックスレス問題や結婚観の多様化など、日本社会における結婚制度の揺らぎも一因として指摘されています。
もっとも、日本の法律や伝統的な価値観では配偶者以外との親密関係は基本的に「不貞行為(不倫)」とみなされます。たとえ本人たちが「心の繋がりが中心のセカンドパートナー」だと主張しても、配偶者の合意なく密かに関係を持てば通常の不倫と何ら変わりありません。実際、日本では一夫一婦制の価値観が根強く、配偶者に隠れて行う関係は法律上も道義上も大きなリスクを伴います(配偶者が不倫相手に対して慰謝料請求できるケースもあります)。このように社会的なハードルが高いため、多くの既婚者にとってセカンドパートナーとの関係は家族や周囲に極秘で維持されるものとなりがちです。
こうした秘密の関係であっても、当事者同士の間には暗黙のルールや限界があります。配偶者や家族を第一に考えるため、セカンドパートナーとは平日の夜など家庭生活に支障のない範囲で会うことが多く、週末や長期休暇は避けられる傾向があります。お互いのプライバシーや家庭を侵食しない線引きが求められる中で、セカンドパートナーに対して「言えないこと」も生じてきます。本記事では、20代後半~40代の既婚者がセカンドパートナー(いわゆる婚外の恋人)に対して隠しがちな事柄をランキング形式で紹介し、その背後にある心理や人間関係の構造を客観的に分析します。
セカンドパートナーに言えないことランキングTOP5
第1位:家庭の本当の姿(配偶者や家庭への本音)
セカンドパートナーに対して最も隠されやすいのは、自分の家庭の実情や配偶者に対する本当の気持ちです。婚外関係を始める際、多くの既婚者は「夫(妻)とはうまくいっていない」「家庭内に寂しさがある」といった説明をしがちです。しかし、実際には「浮気をしていても妻(夫)のことが嫌いなわけではない」場合も多く、家庭が円満だったり配偶者に情が残っていたりするケースも少なくありません。こうした家庭円満ぶりや配偶者への愛情・情は、セカンドパートナーには伝えにくい本音です。
なぜそれを隠すのかというと、罪悪感や矛盾を抱えながら関係を続ける心理が影響しています。浮気する既婚者であっても長年かけて築いた家族への情や責任感があり、それを壊してまで踏み切れないという心理が働きます。しかしその本音(「実は配偶者に情がある」「家庭を捨てる気はない」)を正直に明かせば、セカンドパートナーから「結局あなたは家庭が大事なのでは?」と失望されたり関係が不安定になったりする恐れがあります。セカンドパートナーとの甘い時間を維持するため、家庭に関するネガティブな話(本当は家庭がうまくいっている・配偶者を憎んでいない等)は意図的に伏せられる傾向があります。
心理的背景としては、相手に対して申し訳なさや後ろめたさがある一方で、自分自身も「家庭を捨てる覚悟はない」と認めたくない葛藤があります。家庭の良好さを隠し「自分にはあなた(セカンドパートナー)が必要だ」と思わせることで、関係を正当化しようとする防衛心理も働いていると考えられます。また、日本の既婚男性の本音として「本当に大事なのは家族。家庭を壊す気はない」という声は根強く、既婚女性でも子どもの存在や長年の情から同様の心理になる場合があります。総じて、既婚者はセカンドパートナーに対し、自分の家庭や配偶者へのポジティブな感情や状況を率直には語れないものなのです。
第2位:将来のビジョン(離婚や再婚の可能性)
次に挙げられるのは、将来的な展望に関する本心です。具体的には「配偶者と離婚して将来セカンドパートナーと一緒になるつもりがあるのか」「この関係をいつまで続けるつもりなのか」といった重大な問いについて、明確には言えないことが多いでしょう。
多くの場合、既婚者はセカンドパートナーに対し暗黙に希望を持たせたり、将来的な可能性を匂わせたりします。しかしその内心では、「今の家庭を手放すつもりは現実的にはない」というケースが少なくありません。例えば既婚男性の場合、たとえ不倫相手に一時的に夢中になっていても、「この気持ちは一時的なもので、わざわざ離婚して今の平穏を壊すほどではない」と理解していることがあります。つまり、セカンドパートナーへの恋愛感情自体は本物だとしても、「ずっと続く保証はないし、人生を賭けるほどではない」という冷静な打算や現実認識があるのです。
このような本音(離婚する気はない、本気で再婚まで考えてはいない)はセカンドパートナーには伝えづらいものです。実際、既婚男性の多くは「いくら妻とうまくいってなくても現実に家庭を捨てる気はない」と考えていながらも、それを不倫相手の女性に明言することは決してありません。明かせば相手の失望や怒りを招き、関係が終わってしまう可能性が高いためです。既婚女性の場合も、夫と別れる覚悟がないまま恋愛関係を続けているとき、本当は離婚までは望んでいない気持ちを隠しつつ「いつか一緒になれたら…」と曖昧に夢を語ることがあります。
そうするのには、関係を継続するための先延ばしと曖昧さの戦略があります。セカンドパートナーとの関係は期限が不透明であればあるほど続けやすいため、敢えて将来の話題を曖昧にし、その場その場の愛情表現で繋ぎ止めようとするのです。特に既婚男性は、将来について突っ込まれると「今は離婚は難しい」「もう少し待ってほしい」とはぐらかす傾向があります。それは内心で離婚の意思が薄かったり、様々な障害(社会的地位・世間体、子どもの存在、財産分与や慰謝料など金銭面)を考えると現実的でないと感じていたりするからです。
総じて、「配偶者と別れる気があるのか?」という核心には本当のところ答えられない既婚者が大半であり、それがセカンドパートナーとの関係の大きな不安要素にもなっています。表向きは希望を持たせつつも、本心では現状維持を望む──そのギャップがこの「言えないこと」の背景にあります。
第3位:他の異性関係の存在(複数のセカンドパートナー)
自分が他にも異性関係を持っている(複数人と関係している)場合、それをセカンドパートナーには言えないのも顕著な傾向です。いわば「浮気の浮気」を隠す形ですが、実際に複数のセカンドパートナーを同時進行で持つ既婚者も存在します。ある調査では、「相手には自分以外に5人以上ものセカンドパートナーがいたことが分かり別れた」というケースも報告されています。当然ながら、こうした事実は発覚すれば関係の破綻を招くため、当人は必死に隠そうとします。
心理的には、セカンドパートナーとの関係にも一種の独占欲や信頼関係が生まれるため、それを裏切っている事実を認められないという事情があります。お互い配偶者がいる立場での関係(いわゆるW不倫)の場合でも、「自分たちはお互い様」とある程度割り切っている一方で、セカンドパートナー同士では「自分は配偶者以外ではあなただけ」「あなたとの関係は特別」と思いたい心理が働きます。したがって、さらに他の異性とも関係を持っているとは口が裂けても言えないのです。
特に既婚男性において、浮気性(浮気常習犯)の人は次々と女性関係を増やす場合がありますが、そうした男性でもそれぞれの相手には「君だけだよ」と装うケースが多いと指摘されています。一方、既婚女性の場合は男性に比べ複数の恋人を同時に持つケースは多くないと考えられますが、可能性がゼロではありません。いずれにせよ複数のセカンドパートナーを並行して持つことは、裏切り行為として最も咎められるため、当人は徹底して隠蔽します。
また、セカンドパートナーとの関係自体が秘密でスリルのあるものなので、さらなる秘密を重ねる心理も関与しているかもしれません。いわゆる「スリルを求める心理」や「もっと満たされたい欲求」から複数の相手に手を出す人もいます。しかしその場合でも、各相手に対しては罪悪感や発覚の恐怖から沈黙を保ちます。人間関係の信頼性が低い状況では、自分だけは相手を信じたい・裏切りたくないという願望もあり、複数関係の告白はタブーとなるのです。
第4位:お金の問題・経済状況
経済的な事情やお金に関する本当の状況も、セカンドパートナーには言い出しにくいテーマです。例えば自分の収入や貯蓄、使える自由なお金の額、あるいは離婚した場合の金銭的リスク(財産分与や養育費)など、お金にまつわるリアルな事情は伏せられがちです。
セカンドパートナーとの交際には少なからず費用がかかります(デート代、宿泊費、プレゼント等)。既婚者、とりわけ男性の場合は自分が多く支出するケースが多いですが、その負担について本音を漏らすことはしません。「できる限りお金を使いたくない」というのが多くの不倫男性の本音だという指摘もありますが、実際には女性に格好悪く思われたくないため見栄を張り、気前よく奢ったり経済力があるよう装ったりします。本当は経済的に余裕がなかったり、あるいは無理をして出費していても、弱音や本当の収支状況は言えないのです。
また、離婚や家庭維持に絡むお金の問題も隠されます。例えば、「離婚すると莫大な慰謝料や養育費が発生するから踏み切れない」とか「妻(夫)と別れたら経済的に安定した暮らしが難しくなる」といった打算は、セカンドパートナーには伏せておきます。経済的損失を恐れて離婚に踏み切れない心理は男女問わずありますが、それを正直に話せば「結局お金の方が大事なのか」と思われ、愛情を疑われかねません。
加えて、セカンドパートナーとの力関係にもお金は影響します。経済力のある既婚者が相手に金銭的支援をする場合、それが愛情とどう結びついているか微妙な問題になります。例えば妻子ある男性がお小遣いの範囲で恋人にプレゼントを買っても、家計から大きな出費はできません。その制約を悟られないよう「今はこれが精一杯」と濁したり、場合によっては収入額さえ実際より多めに見せたりします。逆に裕福であっても、「お金目当てと思われたくない」という理由で資産状況を詳らかにしない人もいます。
要するにお金に関する正直な話(苦しい台所事情や離婚できない現実的理由など)は、セカンドパートナーとの甘い関係性に水を差す現実的な話題になってしまうため避けられます。恋愛関係を現実離れした幻想的なものとして楽しむには、お金の生々しい話は不都合なのです。こうして、必要以上に経済状況を語らず、相手にも踏み込ませないようにする暗黙の了解が成立します。
第5位:関係の本当の目的・本音(愛情の温度差)
ランキングの最後に挙げるのは、セカンドパートナーとの関係における本当の目的や温度感です。言い換えれば、「実はどこまで本気でどこからが遊びなのか」という本音部分になります。これは他の項目とも密接に絡みますが、非常に重要なポイントです。
多くのケースで、セカンドパートナーの間には愛情や将来への思いに温度差があります。一般に、不倫関係では女性側(既婚・未婚を問わず)の方が相手を本気で愛し、場合によっては「いずれ一緒になりたい」とまで思い詰めることが多いと言われます。それに対して男性側(特に既婚男性)は、「恋愛ごっこを楽しみたい」「男としての自信を満たしたい」「女性を口説いてその気にさせる快感を得たい」「お金をかけずにセックスしたい」といった下心を持ちながら関係を続ける場合が少なくありません。しかし当然ながら、そうした動機や温度感の差異は相手には明かされません。
例えば既婚男性の中には、内心では「バレない範囲で火遊びを楽しみたい」「背徳感をスリルとして味わいたい」「日常からの逃避をしたい」という程度の気持ちで不倫をしている人もいます。しかしそれを正直に口にすれば、相手の女性から激しく非難されるか去られてしまうでしょう。そこで彼らは、「君が大切だ」「本気で好きだ」と甘い言葉を注ぎ、時には「将来一緒になりたい」といったリップサービスさえします。ベッドの中だけでなく日常のやり取りでも愛情表現を重ね、女性を喜ばせる術に長けた男性ほど、本音を隠して関係を長引かせる傾向があります。
一方、既婚女性がセカンドパートナーを持つ場合でも、「寂しさを埋めたい」「女として求められたい」という思いが主であって、相手男性への愛情は限定的というケースもあります。そのような女性は、相手には「あなたが好き」「離婚も考えている」と伝えつつ、実際には家庭を捨てるつもりはないなど、自分の真意を隠していると言えます。いずれの場合も、自分の中の本当の優先順位(結局は家庭が一番、あるいは結局自分が可愛い等)や動機(ただ刺激が欲しいだけ等)はセカンドパートナーには言いにくいのです。
この「言えない本音」の背景には、自己防衛と相手への配慮があります。自分の打算や軽い動機を正直に明かせば軽蔑される恐れがありますし、相手の気持ちを傷つけてしまうでしょう。特に相手が本気で自分を愛している場合、自分の熱量がそれほどでないとは悟られまいとします。逆に相手ほど自分は愛していないとしても、「君に夢中だ」と演じることで罪悪感を和らげる側面もあります。
要するに、セカンドパートナーとの関係を続けるために、互いが本当の本心すべてをさらけ出すことは稀なのです。どちらかがより強く相手を想い、どちらかがより現実的である──その非対称性を直視すれば関係は脆くなるため、暗黙の了解として触れずにいるのです。セカンドパートナー同士の関係にはロマンティックな幻想が付きまといがちですが、その裏側でこうした隠された本音が渦巻いている場合が多いと言えるでしょう。
年代・性別による傾向と既婚者特有の要素
以上、代表的な「言えないこと」を挙げましたが、これらには性別や年代による違いも見られます。また、既婚者という立場特有の心理も関係しています。
▪︎性別の違い
既述のように、一般論として既婚男性はセカンドパートナー関係を比較的ライトに捉え、既婚女性はより情緒的に捉える傾向が指摘されています。男性は家庭と愛人を割り切って両立させようとし、家庭を壊さない範囲でスリルや癒やしを求めるケースが多いようです。そのため男性側が隠すこととして目立つのは、「家庭を捨てる気はない」「実は単なる遊び」という点です。一方で女性は、夫との関係に満たされない心の穴を埋めるために深くのめり込む場合が多く、相手男性に対して真剣な愛情を抱きがちです。しかし既婚女性の場合でも、実際には子どもの存在や経済的現実から離婚できないケースが多く、「家庭は捨てられない」という本心を秘めつつ恋愛感情を優先している状況が見られます。そのため女性側が隠しがちな点としては、「夫や子どもへの後ろめたさ」や「家庭よりあなたを選べないかもしれない恐れ」が挙げられるでしょう。ただし近年では男女とも価値観が多様化し、男性でも本気でセカンドパートナーにのめり込む人、女性でも割り切って関係を楽しむ人もおり、一概には言えません。
▪︎年代の違い
年代によっても、セカンドパートナーとの関係性や隠し事の内容に差が出ます。例えば30代前半までの比較的若い既婚者では、結婚歴が浅かったり子育て中であったりするため、罪悪感や不安が大きく関係に踏み切れない人が多い傾向があります。その一方で、一度関係を持つと感情のコントロールが難しくなり、本気で離婚を検討してしまうケースも見られます。逆に40代以降の既婚者になると、結婚生活の長さや社会的立場から家庭を維持することの重みを実感しており、セカンドパートナー関係にもある種の大人の割り切りが入る場合があります。実際、前述の調査でも年齢が上がるにつれセカンドパートナーを容認・理解する人が増える一方で、同時に配偶者に秘密にする徹底度も増すという結果が出ています。年齢が高いほどリスク管理に慎重で、関係を家庭に影響させないよう「言うべきでないこと」は固く胸に秘める傾向が強まると言えるでしょう。
また、年代による価値観の違いも影響します。若い世代では恋愛や結婚観が変化しつつあり、「オープンマリッジ(開かれた結婚)」や「多様なパートナーシップ」に理解を示す人も増えています。しかし日本ではまだ少数派であり、多くの既婚者にとっては建前として「不倫は悪いこと」という道徳観が染み付いています。そのため、どの年代であってもセカンドパートナーとの関係自体を公言することは難しく、その内部で起きる隠し事も共通して存在するのです。
▪︎既婚者特有の要素
既婚者である以上、家庭(ファーストパートナーと子ども)が人生の基盤であることは否定できません。社会的信用や経済、子の幸せなど様々なものがかかっているため、セカンドパートナーとの関係は常に「所詮はサブ(第二の関係)」という位置づけになります。本人たちがどれだけ盛り上がっていようと、法律的にも倫理的にもファーストパートナーが優先される現実があります。この構造上、どうしてもセカンドパートナーには「一番にはなれない現実」が付きまといますが、それを素直に伝える既婚者はほとんどいません。むしろ自分自身もその現実を直視すると辛いため、暗黙の了解として触れないのです。
さらに、日本特有の話として、世間体や体裁を気にする価値観が挙げられます。家庭を捨てて不倫相手と一緒になることは「恥ずべき非常識」と見なされる風潮が依然強く、職場や親族に知られれば社会的信用を失うリスクもあります。そのため既婚者は、セカンドパートナーに対しても「周囲に絶対バレないようにしよう」という緊張感を共有しますが、本心では「万一バレそうになったら関係を終わらせるしかない」と考えています。この最悪の場合の覚悟もまた、お互い口には出さないものの心のどこかにある“言えないこと”と言えるでしょう。
セカンドパートナー関係を取り巻く日本社会の価値観
日本におけるセカンドパートナーの関係性は、個人の価値観と社会通念との間で揺れ動く複雑なものです。一夫一婦制が前提の社会では、公には「不貞は許されない」という価値観が語られますが、その一方で現実には一定数の既婚者が配偶者以外に心の拠り所を求めている実態があります。近年はメディアでもセカンドパートナーに関する特集が組まれたり、アンケート調査が行われたりしており、社会の関心も高まっています。ある調査では「セカンドパートナーを持つことは頭がおかしい(非常識)だと思うか?」という質問に対し、「そう思う(否定的)」と答えた人は32.3%にとどまり、「そうは思わない」または「肯定はしないが理解はできる」という人が約67%に上ったとの報告があります。つまり、大っぴらにはしないまでも「他人事として理解はできる」という層が意外に多いことが示唆されます。この背景には、夫婦関係の多様化や個人の幸福を重視する風潮の高まりがあるでしょう。
しかし、日本独自の事情として法律上は不倫が認められないこと、および文化的に自己犠牲や忍耐を美徳とする傾向が挙げられます。配偶者がいながら他にパートナーを求める行為は、伝統的には「恥」とされ、特に女性に対しては厳しい眼差しが向けられがちでした。現代でも、その価値観は完全には崩れていません。セカンドパートナーという言葉は一種の新しい概念として浸透しつつありますが、それを「ただの不倫の言い換え」とみなす向きは強く、実際に配偶者の合意の下でオープンに二人目のパートナーを持つケースは極めて稀でしょう。
こうした社会的背景の中、セカンドパートナーとの関係にある既婚者たちは綱渡りをするように日々を過ごしています。家庭と恋愛という二つの世界を器用に行き来し、双方の均衡を保つために多くの「沈黙」と「建前」を駆使するのが日本のセカンドパートナー関係の特徴とも言えます。あるアンケートでは、セカンドパートナーとの関係を解消した理由として「罪悪感を感じた」「相手と会うのが面倒になった」「配偶者に気づかれそうになった」といった声が挙がりました。これらはまさに、社会的倫理観や家庭への責任感が最終的に本人を原点に立ち返らせた例と言えるでしょう。また「配偶者との関係修復や妊娠がきっかけで別れた」という回答も見られ、家庭の出来事が最優先される現実が浮かび上がっています。
日本特有の価値観として、結婚後は家庭に尽くすことが期待され、自分個人の幸福追求は二の次という風潮が根強い点があります。そのため、配偶者以外に安らぎやときめきを求めることに後ろめたさを感じ、誰にも相談できず一人で悩みを抱える既婚者も多いようです。その孤独感が逆にセカンドパートナーという存在を呼び寄せている側面もあるでしょう。皮肉にも、「夫婦では言えない悩みを話せる相手が欲しい」という声がセカンドパートナーへの需要につながっているのです。つまり、日本の既婚者がセカンドパートナーに求めるものは「夫(妻)には見せられない自分」を受け止めてくれる心の拠り所であり、その関係性には日本社会の家族観・夫婦観の裏返しが映し出されています。
隠し事が示す人間模様
セカンドパートナーに言えない数々の事柄は、裏を返せば当事者たちの葛藤と本音を物語っています。家庭を大切に思う気持ちと、満たされない思いを埋めたい気持ち。その狭間で既婚者たちはバランスを取り、「言わない自由」を駆使しながら危うい関係を続けているのです。そこには罪悪感・恐怖・愛情・欲望といった相反する感情が渦巻き、当人たちでさえ自分の本心を測りかねている部分があります。
本記事で挙げたランキング上位の「言えないこと」は、多くのケースに共通しやすい代表例ですが、実際の人間関係は千差万別です。セカンドパートナーとの関係における秘密もまた、人それぞれでしょう。ただ一つ言えるのは、秘密の関係にはさらに多くの秘密が付きまとうということです。隠し事で成り立つ関係は儚く脆い反面、その危うさゆえに燃え上がる情熱もあります。読者の中にはこうした状況に共感しつつも複雑な気持ちになる方もいるでしょう。
現代日本において、セカンドパートナーという存在は伝統的な結婚観への挑戦であると同時に、現実と理想の折衷策として生まれた関係性とも言えます。そこには人間の弱さや優しさ、エゴといったものが色濃く表れます。誰しもが心のどこかに持つ「言えない本音」――それを映し出す鏡が、セカンドパートナーという関係なのかもしれません。客観的に見れば危うい綱渡りですが、その背景にある心理を理解することで、人間関係の機微や日本社会の価値観が浮かび上がってきます。本記事が、その一端を読み解く手がかりとなれば幸いです。
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