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不倫は文化?世界の浮気事情と日本人の婚外恋愛観
2025.04.091996年の「不倫は文化」という言葉を起点に、各国の浮気観を比較します。欧米では倫理観が厳しい一方で、実際には柔軟な対応が見られます。ラテン系の国々では情熱的な恋愛観から浮気に寛容な傾向があり、アジアや中東では宗教的背景から厳しく否定される文化が根強く残っています。日本は表向きは不倫に厳しい姿勢をとりながらも、水面下では婚外恋愛やセカンドパートナーが存在しており、本音と建前を使い分ける傾向が見られます。浮気は裏切りなのか、それとも心のよりどころなのか──人それぞれの価値観の中で、自分にとっての「浮気」の意味を考えることが大切です。
「不倫は文化」という言葉について
1996年、俳優の石田純一氏が放った「不倫は文化」という発言は日本全体に大きな波紋を呼びました。発言の真意はともかく、日本において、不倫(婚姻者の浮気)は倫理に反するとして厳しい非難を浴びるのが一般的です。それでは、本当に不倫は「文化」と呼べるほど世界各国では当たり前に行われているものなのでしょうか?世界に目を向けると、浮気・不倫への考え方や社会的許容度は国や地域によって実に様々です。本記事では欧米やアジア、ラテン系の国々の浮気事情を比較しながら、日本人特有の婚外恋愛観を浮き彫りにしていきたいと思います。既婚者にとっての「浮気」は一体何なのか、ぜひ一緒に考えてみましょう。
世界各国に見る浮気・不倫観の違い
まず世界にはどの程度「浮気」が蔓延しているのか、統計データから見てみましょう。とあるコンドームメーカーの調査によると浮気率(婚姻関係にあるパートナー以外と性的関係を持った経験者の割合)の高い国トップ5は以下の通りとなっています。
- 1位 タイ:56%
※およそ半数以上の既婚者が浮気経験あり。 - 2位 デンマーク:46%
- 3位 イタリア:45%(同率でドイツも45%)
- 5位 フランス:43%
一方で、日本の浮気率は21%程度とされ、世界トップ10圏外となっています。日本では芸能人の不倫報道が多いため「日本人は浮気性では?」と思われがちですが、実際の数値上では世界的に見ると低めと言えるでしょう。
なお、調査方法によって結果は多少異なりますが、概ねタイや欧米諸国での浮気率が高く、宗教的に保守的な国々では浮気率は低い傾向が見られています。
英米圏:建前は厳格、でも実態は…?
欧米の中でも、アメリカやイギリスといった英語圏の国々は、一見「性に自由」なイメージがあるものの、浮気への倫理観は意外に厳格です。特にアメリカでは訴訟社会という背景もあり、不倫が発覚すれば多額の慰謝料や賠償金を請求されるリスクがあります。また国民の多くが信仰するプロテスタント(キリスト教)では姦通は重大な罪とされるため、「浮気は悪いこと」と考える人が非常に多いのです。イギリスも同様に「不倫=罪」の意識が根強く、周囲の評価を気にする気質もあって浮気率は欧州内でも低めだとされています。
とはいえ、英米圏でも浮気が皆無なわけではありません。例えば米国のある調査では、約半数の既婚者が結婚期間中に一度は浮気すると報告されています。ただし大多数のアメリカ人は不倫を「許されない裏切り」と捉えており、パートナーの浮気発覚時には約57%が離婚を選ぶとイギリスの調査結果もあります。表向きは倫理観が厳しく、実際に浮気が発覚すれば関係解消に至りやすいのが英米の特徴と言えるでしょう。
ラテン系諸国:「情熱」の文化と寛容度
これに対して、フランスやイタリア、スペインといったラテン系文化圏では浮気・不倫に対して比較的寛容な風土があります。
フランスでは不倫そのものは法律上何の問題もなく、婚外関係も個人の自由という考え方が根付いています。もともと他人の私生活に干渉しない国民性もあり、国家元首クラスの人物の不倫が報じられてもイメージダウンにつながりにくいほどです(実際、過去の大統領の愛人スキャンダルもフランス国民は重要視しませんでした)。フランスでは「不倫は文化」とまでは言えないにせよ、日本と比較すると不倫をモラルに反する違法な行為だと捉える意識が弱いのは確かだと言われています。
イタリアもまた浮気率が高い国の一つです。その背景には「イタリア人男性は恋愛に積極的で情熱的」というお国柄であるとされています。魅力的な異性には既婚であっても惹かれてしまい、つい浮気に走ってしまう――そんな情熱的な恋愛観が浮気の多さにつながっているようです。スペインや南米のラテン諸国でも、伝統的に男性のマチスモ(男らしさ)文化があり、「愛人」を持つことが暗黙のステータスだった社会も存在します。その一方で近年は男女平等や人権意識の高まりから、女性側も浮気に対して声を上げるようになり、ラテン圏でも世代によって少しずつ価値観が変化しつつあります。
アジア・中東:宗教や伝統が影を落とす
アジア諸国や中東のイスラム圏では、宗教的・伝統的背景から不倫に極めて否定的な社会が多く見られます。例えば隣国の韓国では2015年まで「姦通罪」という法律が存在し、不倫をした者は刑事罰(懲役)が科されていました。
中国でも伝統的に家族制度や儒教道徳を重んじるため「不倫は悪」という意識が強く、浮気率は低めだとされています。
イスラム教国では宗教法により姦通は重大な罪とされるため、公に発覚すれば厳罰を受けることもあります。実際、フィリピン(国民の多数がカトリック)は現在も姦通罪が存続しており、場合によっては禁固刑に処される厳しさです。
こうした法的・宗教的抑制が強い社会では、表立っての浮気が少ない反面、隠れて関係を持つケース多くなってきます。
特に男性優位の文化が色濃い国では、法をかいくぐって愛人を囲うような慣行も後を絶たないのが実情です。それでも世論としては不倫を容認する声は小さく、「浮気などもってのほか」という価値観が支配的です。国際比較調査でも、フィリピンやインド、トルコ、アラブ諸国などは不倫に対する嫌悪度が非常に高く、浮気は道徳的に断じて許せないという回答が大半を占めています。宗教が人々の倫理観に与える影響は大きく、敬虔な宗教国ほど不倫への社会的制裁も厳しい傾向があります。
浮気に見る宗教・文化と世論のギャップ
ここまで見てきたように、浮気への許容度は国によって天と地ほど異なります。社会全体で不倫を「大人の嗜み」として黙認するロシアのような国もあれば、法的に禁じてまで貞操を守ろうとするフィリピンのような国もあります。この違いの大きな要因は宗教観や文化的背景です。ある研究では、不倫の容認度が高いトップ3がロシア、ブルガリア、チェコと報告される一方、容認度が低い(不倫を道徳的に受け入れられない)国のトップはフィリピン、アイルランド、アメリカでした。敬虔なカトリック国やプロテスタント影響下の国で不倫NGの価値観が強く、逆に社会主義の影響で世俗化が進んだロシアや東欧などでは比較的寛容という傾向が浮かびます。
もっとも、世界的に見ると「浮気は良くない」と考える人が多数派であること自体は共通しています。例えばフランスですら「不倫は道徳的に問題ない」と考えている人は40%程度で、裏を返せば半数以上は何らかの罪悪感を持っているわけです。
文化的に寛容と言われる国でも、いざ自分の配偶者が浮気をしたら許せないという人は多く、浮気が原因で離婚に至る割合も高くなっています。
つまり「浮気に寛容な文化」とはいえ、それはあくまで公的な非難が少ないという意味であって、当事者にとって裏切りの痛みが小さいわけではないのです。実際、世界中どこであっても浮気は夫婦・恋人間に深い心の傷を残し、関係修復は困難になるという点では共通しています。
日本人の浮気観と婚外恋愛のリアル
では、海外と比べて日本人の浮気観・婚外恋愛観にはどんな特徴があるのでしょうか。日本は宗教的には比較的寛容な風土と言われますが、それでも不倫となれば世間の視線は非常に厳しいものがあります。芸能人の不倫スキャンダルが連日ワイドショーを賑わせ、当事者はCMや番組降板など社会的制裁を受けることもしばしばです。「浮気=悪」とする道徳観は現代日本でも根強く、国際調査でも日本人の約86%が不倫は道徳に反すると回答しています。
これは欧米諸国と比べてもかなり高い倫理基準で、表面的には日本社会は不倫を許さない風土と言えるでしょう。
しかし一方で、日本にも浮気や婚外恋愛が全くないわけではありません。実態調査によれば、日本の既婚者の約5人に1人(21%)はパートナー以外とのセックス経験があるとされています。
この数字は決して低くなく、多くの男女が何らかの形で「禁じられた恋」に踏み込んでいることを示唆します。興味深いのは、日本ではそうした関係をあえて「不倫」ではなく「婚外恋愛」と呼び、ひとつの恋愛の形として捉え直そうとする動きもあることです。「不倫」が背徳的で後ろ暗い響きを持つのに対し、「婚外恋愛」はどこかロマンチックで主体的な響きがあります。実際、「セカンドパートナー」と称して配偶者以外に心の拠り所となる相手を持つ既婚者も増えており、その出会いのためのプラットフォーム(既婚者向けのマッチングアプリやSNSコミュニティなど)も登場しています。
さらに、2024年に行われた3,000人規模のアンケート調査では、既婚者の7.6%が現在進行形のセカンドパートナー(肉体関係の有無を問わず、心の支えとなる第2のパートナー)を持っていると回答しました。
「今はいないが機会があれば欲しい」と考えている人も一定数おり、潜在的なニーズは無視できません。セカンドパートナーという概念は「家庭は壊したくないが、他に心の安らぎやときめきも求めたい」という思いから生まれたものです。特に夫婦仲が冷え切っていたりセックスレスに悩む既婚者にとって、婚外恋愛は自分を取り戻す手段として映るのかもしれません。その結果として、カドル(Cuddle)-既婚者マッチングアプリは会員数50万人超と既婚者にとっての新しい出会いの場として注目を集めていると言えるでしょう。
ただし、日本人の婚外恋愛には独特の「ルール」や暗黙の了解がある点も見逃せません。昔から「浮気はするならバレないように」と言われるように、日本では配偶者や周囲に悟られないよう細心の注意を払って関係を続けるケースが多いようです。実際、先の調査でもセカンドパートナーがいる人の約7割はその事実を配偶者に隠しているといいます。また、「セックスなしの純愛関係」と割り切るカップルもいますが、現実には最初はプラトニックでも最終的に7割が肉体関係を持ってしまうとのデータもあり、男女が深く惹かれ合えば一線を越えてしまうケースが大半です。日本では「家庭を壊さない遊びの恋(浮気)」と「本気の婚外恋愛」を分けて考える傾向がありますが、その線引きは当事者にも難しいのが実情といえます。
興味深いのは、日本の浮気事情にはある種のダブルスタンダード(二重基準)が存在することです。表向きは不倫を激しく非難しながらも、自分や身近な人がこっそり婚外恋愛を楽しむことにはどこか寛容——そんな側面です。昭和の時代には「浮気は男の甲斐性」などという言葉もありましたが、現在では男女問わず密かに婚外の恋愛に踏み出すことが多くなっています。ただし多くの場合、それは家庭や社会的地位を投げ打ってまで貫くものではなく、あくまで「バレずに行う火遊び」の範疇にとどめようとする傾向にあります。日本人は本音と建前を使い分けると言われますが、浮気観にもその気質が表れているのかもしれません。つまり、公の場では倫理観を重んじつつ、私的な領域ではグレーな関係を容認する余地を残しているということです。
日本人にとっての「浮気」とは?
世界の浮気事情を見渡すと、「不倫は文化」と開き直る国もあれば、断固として排除する国もありました。そんな中で日本は、道徳的には浮気を良しとしない建前を持ちながら、水面下では多くの婚外恋愛が存在するという独特のバランスを取っているように思えます。日本人にとって浮気とは、公には後ろめたい背徳行為ですが、個人レベルでは心の隙間を埋める手段にもなる複雑なものです。
最後に日本人にとっての「浮気」とは何なのか?「浮気」という行為は 単なる裏切り行為になるのでしょうか?それとも、ひとりの人間がパートナーシップと自己の幸福を模索する中で生まれる文化的な現象の一つなのでしょうか。正解はひとそれぞれの価値観や立場などにも左右されるため簡単には出ないかもしれません。ただ、本記事を通じて世界と日本の違いを知った皆さんが、ご自身の価値観やパートナーとの関係について考えるきっかけになれば幸いです。不倫が文化かどうかは別として、浮気の裏にある人間模様は国境を越えて共通する部分も多いのかもしれません。そして最終的には、一人ひとりが「自分にとって最も大切なものは何か」を見つめ直すことこそが、この問題への正解になると言えるでしょう。
参考文献
- 海外では日本と不倫事情が違うって本当?考え方を比較解説
https://www.pio.co.jp/column/overseas-affair/ - 世界40か国を対象としたPEWリサーチセンターの意識調査
https://www.first4lawyers.com/news-and-resources/the-top-10-countries-in-the-world-that-accept-infidelity/?utm_land=home - 海外の不倫事情|海外と日本の不倫の考え方を比較!
https://www.kakekomu.com/media/23535/
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